2019-01-01から1年間の記事一覧
本書は「公務員バッシング」という「現象」について、その発生背景について論じた本らしい。「らしい」としたのは、私自身が本書を偶然図書館で見つけ、タイトル及び分量から期待していた内容とは全く違うものだったからである。もちろん私が期待したのは、…
本書は1960年~70年代の美濃部東京都政に対する評価をめぐる議論に関連して、革新自治体に対する批判に加担した政府・自治省を強く批判した本である。美濃部都政の評価に関する議論は今後もできる限り検証していきたいが、今回も論点整理の一環でレビューし…
本書は70年代後半を中心にした、岐阜県における教育正常化運動に対する批判を行っている本である。今回本書を取り上げたのは、過去にレビューした無着成恭が在籍していた明星学園中学の教育論争と同じ基軸で、本書で支持される「恵那の教育」批判を行う動…
本書は日本の外交交渉(バーゲニング)の分析を通じて日本人論を展開する本である。ただし、p227やp228に見られるように、既存の日本人論に対して一定の批判的な視点があること、そして本書を通して語られる日本人論は、かなり複雑な印象がある。 少なくとも…
本書は、1937年に日本の農村を中心にしたフィールドワークをもとに著した『須恵村』で知られるジョン・エンブリーと『女たち』の著書で知られるエラ・エンブリー夫妻がみた須恵村などについて記した本である。 本書の考察をする前に、まず本書を読む前の段階…
今回は以前レビューしていた斎藤喜博を再度取り上げる。本書でメインになっているのは「授業論」であり、斎藤自身これまでそのような「授業論」が存在しなかったことを憂い、そのような「教授」に関する議論がもっと教師に読まれる必要性を感じて書いた内容…
今回は、西尾のレビューで取り上げた「黄禍論」についての本である。 本書は19世紀から20世紀にかけて、中国人・日本人の海外への進出について、特に「人の多さ」をもって支配されるのではないのか、という議論にはじまる「黄禍論」について、諷刺画を中心に…
「国鉄の分割・民営化は、二五兆円を超える累積債務(これに鉄建公団の債務、年金負担の積立金不足などを加えると三七兆円)を処理し、人員を整理して経営改善を図ることがオモテ向きの目的であったが、そのウラでは、戦後GHQの民主化政策のもとで生まれた労働…
本書は「文明の衝突」で知られるサミュエル・ハンチントンの著書である。 世間的には近年のアメリカの動向を予見していた著書としても評価されているようであるが、私自身の関心から言えば、これまで「日本人論」に対してあまり語られないのではないかと指摘…
今回も日本人論を取り上げる。 西尾については最初に「教育と自由 中教審報告から大学改革へ」(1992)を読み、レビューする予定だったが、背景として西尾の考える日本人論について押さえておく必要があると感じたため、本書を読んだ。 その考え方についてはこ…
今回も「日本人論」として「社会問題」を扱った著書のレビューを行いたい。 本書は、明治から昭和初期にかけてのエリート層の青年(高等学校進学者)向けの雑誌の言説分析を中心にして、「立身出世」の意味合いの変化について捉える中で、現在の「日本人論」…
本書は第二次大戦前後の「日本人論」を分析したものである。 杉本・マオアのレビューの際にも「日本人論」には「日本人から見たもの」と「欧米人から見たもの」の2つがありえることを指摘したが、本書はその両方の議論について当時の言説からその異同につい…
今回は前回の補論も兼ねる形で、松下の「日本人論」を考察してしたい(※1)。思えば、松下の「社会教育の終焉」のレビューにおいて、「日本的」であることの文脈の捉え方に違和感を覚えたことが、その後の私の日本人論の検討にも大きな影響を与えたように思…
○松下にとっての「教育」とは何だったのか? さて、2つ目の問いである。この「市民」に対する意味合いについても過去の言説から分析してみたい。ただ、これに答えるためにはまず、松下における「教育する主体」についての議論をしなければならないだろう。 …
今回、改めて松下圭一を読むことにした。 前回の「シビル・ミニマムの思想」のレビュー時点では松下の精読について興味深いとしたものの、それ程重要性について感じていなかったため、読むのをやめてしまったのであったが、最近90年代の日本人論、つまり日本…