2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

作田啓一「生成の社会学をめざして」(1993)

今回も、欲望の議論に繋がるような本をレビューします。(読書ノート) p3 「しかし、マルクスの考えている無意識は制度が人間の中に作り出したものであり、フロイトの考えている無意識は人間の理性によってはとらえられない欲動(Trieb)に根ざしている、とさ…

黒石晋「欲望するシステム」(2009)

前回、アレントの議論で「欲求と欲望」に関することをコメントしてましたが、今回はこの差異について考察していた本をレビューします。 去年度読んだ本だったので、今回はほとんど当時の読書ノートのままで、一部用語の説明などを加えました。(読書ノート)…

ハンナ・アレント「人間の条件」(1958=1994)

東先生がアレントに言及していたので、昔に戻ってアレントを読み返します。 当時もまた新自由主義の話に関心はありました。ただ、問いの立て方は異なっており、「現代において、公共空間をいかに確保することが可能か」というものでした。訳書はちくま学芸文…

『マトリックス』を見直してみる

本以外のレビューということで、今の流れで『マトリックス』をレビューします。 『マトリックス』といえば、ビッグブラザー的世界観が先行しやすいようにも思えますが、今回は排除プログラムとしてのエージェント・スミスに注目したいと思います。というのも…

東浩紀「情報環境論集 東浩紀コレクションS」(2007)

前回に続いて、「統治」における規律訓練型権力・環境管理型権力の性質をとらえる一環で読んだ一冊です。「文学環境論集」などでも、この点が議論されています。が、今回改めて読み返してみてピックアップした点というのは、かなり今現在の関心に結びつけて…

アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート「<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性」(2000=2003)

中野論文を読んでからまず興味をもったのは、新自由主義的な「統治」の性質の問題でした。フーコーなども読んでましたが、「自発的」な主体がどのようにして従者として組み込まれていくのか、そのメカニズムを追った本をよく読んでいました。 その中でも最も…