2014-01-01から1年間の記事一覧

矢野智司「贈与と交換の教育学」(2008)

「自己変容による物語」でも矢野の贈与論は批判を行っていましたが、本書はそれよりもひどい方向に洗練された贈与論を展開しています。ひどい贈与論のテクストとしては典型的なものとして有効かと思ったので、今回取りあげました。(考察) ○ジラールに対す…

贈与論序説—高橋由典「行為論的思考」再訪

今回から何回か「贈与」をテーマにしたレビューを行いたいと思います。これまでも「模倣」と「贈与」の関係性については検討してきましたが、少し詰めた議論をしてみたいと思います。 まず、これまで私自身の用語としてまとめた「純粋模倣」について復習する…

スラヴォイ・ジジェク「大義を忘れるな」(2008=2010)

<考察> 今回はジジェクの議論をまとめてみたい。 ジジェクの主体論は基本的に「大文字の<他者>」に依拠しようとする主体と、そのような主体に対する「幻想」を走査しようとする主体(これをラカン的主体とここでは呼びたい)の2つが対比されながら展開…

牧野篤「認められたい欲望と過剰な自分語り」(2011)

<考察> 今回はフーコーを批判するジジェクを読む前にジジェクのラカン解釈を改めて確認する意味で、牧野文献を読みます。読書ノートの注(※)で一通り違いを指摘していますが、こちらでは、要点をまとめていきたいと思います。本書を取り上げたのは、ある…

私立明星学園母親グループ「無着先生との12年戦争」(1983)

久しぶりにここに文章を書きます。表での活動が一段落したので、リハビリがてら印象が強かった本を先に記録として残しておこうと思います。 まず、この著書を執筆した無名の「母親(たち)」には感謝したいと思う。おそらくマスコミだったり、ルポライターだ…