2013-01-01から1年間の記事一覧

ミシェル・フーコー「主体の解釈学」(2004)

今回は改めてフーコーを読みます。前回のフーコーのレビューから一通り「知への意志」以後のフーコーの著作を読み返し、紆余曲折した結果、まず、コレージュ・ド・フランスの1981−1982年講義にあたる本書を取扱うことにしました。次はいつになるかわかりませ…

ヴァルター・ベンヤミン「暴力批判論」

前回大澤が引用していたベンヤミンをレビューしておきたいと思います。訳は晶文社の著作集(1969)からのものです。(読書ノート) p10 「自然法は、目的の正しさによって手段を「正当化」しようとし、実定法は、手段の適法性によって目的の正しさを「保証」…

大澤真幸「不可能性の時代」(2008)

今回は大澤真幸です。3年前に一度読んで、最近読み返したのですが、思う所が多かったのでレビューしてみます。(読書ノート) p29 「理想」としてのアメリカ p77 「要するに、村上の『羊をめぐる冒険』は、三島から直接にバトンを受け取るように小説を書き…

ジョルジュ・バタイユ、湯浅博雄他訳「至高性 呪われた部分」(1976=1990)

前回の議論を踏まえ、バタイユを読みます。何冊か読んだ中で一番内容が濃い印象だったので、本書を取り上げました。(読書ノート) p10 「原則として、労働へと拘束されている人間は、それなしには生産活動が不可能となるような最低限の生産物を消費する。そ…

矢野智司「自己変容という物語」(2000)

なかなかフーコーが読解できずにいたので、どんどん後回しになってしまいそうです… ニーチェの議論も関連した矢野の著書を今回は読みます。(読書ノート) p61 「純粋な贈与としての「教える」という行為は、学ぶ者の側の主体的な参入を必要とする賭けなので…

フリードリヒ・ニーチェ「権力への意志」

今回はニーチェを読みます。訳書は理想社版のニーチェ全集から、11巻と12巻を取りあげます。(読書ノート、上巻) p22 「ニヒリズムとは何を意味するのか? ——至高の諸価値がその価値を剥奪されるということ。目標が欠けている。「何のために?」への答…

宮沢章夫「東京大学「80年代地下文化論」講義」(2006)

本を読む方に随分時間を取られて、レビューが追いつきません…月に3冊ペースでと思ってましたが、今月このままだと一冊になってしまうので、今回は記憶に残っている本をレビューしておきます。 クラブミュージックをかじっていた私にとっては、この80年代…

ミシェル・フーコー「性の歴史1 知への意志」(1976=1986)

さて、今回はフーコーを読もうと思います。 随分と時間がかかってしまったのはフーコーのどの本をベースにするのかを選ぶのに時間がかかったのと、自分自身がフーコーの議論に袋小路にされてしまっていたのが理由です(汗)。まだ十分に議論を掴み切れていな…

「シルバー事件」にみるミメーシス

さて、今回かなり前に(ミメーシスの議論を始めた頃)に話題に挙げていたシルバー事件について取りあげたいと思います。 もともとは、「過去を殺す」というキーワードとナドーのメランコリーの議論を関連づけながら、もっと面白い視点を提供してくれる作品で…

アブラハム.H.マズロー、上田吉一訳「完全なる人間」(1962=1964)

今回から検討したいのは、「人間性(ヒューマニティ)」についてである。これまでも関連的な分野をレビューしてきたように思うが、だいぶ考えもまとまってきたので、考察の対象として加えていきたい。ちなみに訳書は1979年の新装版を読んでいます。(読書ノ…

フランソワ・ベゴドー「教室へ」(2006=2008)

この本を知ったきっかけは、本書の映画版にあたる「パリ20区、僕たちのクラス」を見たことでした。本書と同様、淡々とした内容で、パリの中でも多くの移民が住む地区の学校の、コレージュ最終学年(中学3年に相当)のクラスの1年間の日常が描かれていると…

柄谷行人「トランスクリティーク」(2004)

今回もまた資本主義批判の文献です。読書ノートは岩波現代文庫版(2010)のものです。(読書ノート) p27 「資本は、たえず、差異を見出し、差異を創出し続けなければならない。それが、産業資本における絶え間なき技術革新の原動力である。それはけっして人…

リチャード・ローティ「アメリカ 未完のプロジェクト」(1998=2000)

ローティの著書は「偶然性・アイロニー・連帯」を1・2度読んだことがありましたが、いまいち何を言いたいのかわからず、ローティ自体もよくわからない著者の部類に入れていました。今回この本を手に取ったのは、気まぐれで渡辺幹雄「リチャード・ローティ…

西田慎「ドイツ・エコロジー政党の誕生」(2009)

今回はこれまでの路線から脱線して、ゆるくいきたいと思います。最近本を読み込んで書いているので、このままだとなかなか更新できなくなりそうなので…。読書ノートも付けないで、読んでて思ったことなどだけ書く回をシリーズ化できればと思います。 さて、…

麻生武「身ぶりからことばへ」(1992)

今回は発達心理学の本を取りあげたいと思います。本書は著者自身の子どもの誕生後から1年間の観察記録を分析したものになっており、特に他の動物と人間との違いに注目した内容になっています。ノートは少なめ。(読書ノート) p10 「つまり、対象を指差した…