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佐藤俊樹「社会科学と因果分析」(2019)

今回は、前回少し考察した『ヴェーバーの動機問題』、つまり「合理性についてシニカルな態度を取りながらもその合理性をめぐる議論についてヴェーバーがコミットしようとするのは何故か」という問いにおいて、この問題を回避する「3」の立場に立つ議論とし…

「主体動員論批判」について―中野敏男「大塚久雄と丸山真男」再訪

前回、中野敏男に触れた。中野の著書は私のこの読書記録帳の1冊目のレビューで、当時課題についても提示していたこともあったので、このタイミングで私の回答を行っておきたいと思う。 中野の著書は、「ボランティア動員論」に対する批判を、その背景にある…

縫田清二「ユートピアの思想」(2000)

今回は日本人論の関連で、縫田のユートピア論を取り上げる。特に今後取り上げる予定の西尾幹二の議論とも関連するため、特に「理想」と「実態」に対する見方についてを中心に検討したい。 ○「大衆としての日本人」と「代表としての日本人」について(または…

サミュエル・ハンチントン「分断されるアメリカ」(2004=2004)

本書は「文明の衝突」で知られるサミュエル・ハンチントンの著書である。 世間的には近年のアメリカの動向を予見していた著書としても評価されているようであるが、私自身の関心から言えば、これまで「日本人論」に対してあまり語られないのではないかと指摘…

西尾幹二「西尾幹二全集 第一巻 ヨーロッパの個人主義」(2012)

今回も日本人論を取り上げる。 西尾については最初に「教育と自由 中教審報告から大学改革へ」(1992)を読み、レビューする予定だったが、背景として西尾の考える日本人論について押さえておく必要があると感じたため、本書を読んだ。 その考え方についてはこ…

渡辺治「「豊かな社会」日本の構造」(1990)

本書は、日本の「社会民主主義」の分析を介して、その特殊性と、労働運動や政治における一種の脆弱さを指摘する内容である。 本書を読むきっかけとなったのは、渡辺が別の編書で(渡辺治編「日本の時代史27 高度成長と企業社会」2004)、75年頃からの官公へ…

チャールズ・ライク「緑色革命」(1970=1971)

今回は、リースマンのレビューの際に少しだけ出てきた「緑色革命」を取り上げます。 当初は理念型の議論の理解のため、意識1、2、3の捉え方をみていきたいと思っていました。この論点についてはノートのコメント(※部分)でも少し言及してますが、また後日…

大澤真幸「不可能性の時代」(2008)

今回は大澤真幸です。3年前に一度読んで、最近読み返したのですが、思う所が多かったのでレビューしてみます。(読書ノート) p29 「理想」としてのアメリカ p77 「要するに、村上の『羊をめぐる冒険』は、三島から直接にバトンを受け取るように小説を書き…

リチャード・ローティ「アメリカ 未完のプロジェクト」(1998=2000)

ローティの著書は「偶然性・アイロニー・連帯」を1・2度読んだことがありましたが、いまいち何を言いたいのかわからず、ローティ自体もよくわからない著者の部類に入れていました。今回この本を手に取ったのは、気まぐれで渡辺幹雄「リチャード・ローティ…

ウルリヒ・ベック「危険社会」(1986=1998)

ドイツの社会学者、ベックの1986年の著書です。ちょうどチェルノブイリの原発事故のあった年の本ですが、環境問題について広く扱っています。このためノート量が恐ろしいことになってしまいました… 私自身は大学の卒業論文で読んだのがきっかけです。当時は…

中野敏男『大塚久雄と丸山眞男——動員、主体、戦争責任』(2001)

1冊目ですが、今の関心に結びついたきっかけになった本です。 昔は、記録と一緒に本の一部コピーとかもしていたのですが、何故か見当たらなかったため、極めて断片的な内容になりますが、私の読書記録の意図もわかりやすくなると思うので、掲載します。 ち…