2011

ジョルジュ・バタイユ、湯浅博雄他訳「至高性 呪われた部分」(1976=1990)

前回の議論を踏まえ、バタイユを読みます。何冊か読んだ中で一番内容が濃い印象だったので、本書を取り上げました。(読書ノート) p10 「原則として、労働へと拘束されている人間は、それなしには生産活動が不可能となるような最低限の生産物を消費する。そ…

宮沢章夫「東京大学「80年代地下文化論」講義」(2006)

本を読む方に随分時間を取られて、レビューが追いつきません…月に3冊ペースでと思ってましたが、今月このままだと一冊になってしまうので、今回は記憶に残っている本をレビューしておきます。 クラブミュージックをかじっていた私にとっては、この80年代…

フランソワ・ベゴドー「教室へ」(2006=2008)

この本を知ったきっかけは、本書の映画版にあたる「パリ20区、僕たちのクラス」を見たことでした。本書と同様、淡々とした内容で、パリの中でも多くの移民が住む地区の学校の、コレージュ最終学年(中学3年に相当)のクラスの1年間の日常が描かれていると…

ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ、宇野邦一訳「アンチ・オイディプス」(1972)

ようやくですが、ドゥルーズとガタリの考察に入ります。次回もドゥルーズの「意味の論理学」をレビューする形で考察は2回に分けます。訳書は河出文庫のものです。(読書ノート、上巻) p38-39 「分裂症者はひとつのコードから他のコードへと移行し、すばやい…

ルネ・ジラール「羨望の炎」(1990=1999)

今回と次回はジラールの著書を扱って、模倣論について考察をしてみたいと思います。 私自身もジラールの関連文献は去年から10冊くらい読んでますが、その中から2冊を取り上げてみます。この「羨望の炎」ですが、基本的にはシェイクスピアの文学評論という…

ステファヌ・ナドー「アンチ・オイディプスの使用マニュアル」(2006=2010)

(読書ノート) P40 「ポップ心理学では、幸福はむしろ道徳的価値として理解される。「悪くなる」より「良くなる」のほう、ではもう関心事にはならない。「悪にしたがう」より「善にしたがう」のほう、これが関心事となるのである。」 p41 「ではなぜわたし…

黒石晋「欲望するシステム」(2009)

前回、アレントの議論で「欲求と欲望」に関することをコメントしてましたが、今回はこの差異について考察していた本をレビューします。 去年度読んだ本だったので、今回はほとんど当時の読書ノートのままで、一部用語の説明などを加えました。(読書ノート)…