2017

新堀通也「「見て見ぬふり」の研究」(1987=1996) その2

<読書ノート> p鄱-鄴「(※教育風土シリーズ発刊の目的の)第二は日本文化論など日本研究への寄与である。今日、日本の国際的地位の高まりから、諸外国では日本への関心が拡まり日本研究が盛んになっているし、国内では日本社会論、日本文化論、日本人論が流…

新堀通也「「見て見ぬふり」の研究」(1987=1996) その1

本書は「社会問題」を扱っている本であるが、同時に「日本人論」にも依拠している本である。私自身、教育の分野における日本人論の介入について考えるようになったのはここ1・2年程の話であるが、ある意味でここまで日本人論が自然に社会問題、そして教育…

ダニエル・H・フット「裁判と社会」(2006)

今回は日本人論の検討の一環で、法社会学的アプローチをとるダニエル・フットの著書のレビューである。 本書は、日本人論に対して一定の懐疑を持ちつつも、とりわけ『制度』の影響についての検討を、訴訟をめぐる分野から行っている。しかし、特に序盤で語ら…

小池和男「日本の熟練」(1981)

今回は、遠藤のレビューで取り上げた小池和男の著書である。小池が何故人事評価の制度をめぐって「誤解」をしたのか、それを日本人論に対する見方から説明することできるのではないのか、という点を課題としていた。今回は本書と「学歴社会の虚像」(1979、…

渡辺治「「豊かな社会」日本の構造」(1990)

本書は、日本の「社会民主主義」の分析を介して、その特殊性と、労働運動や政治における一種の脆弱さを指摘する内容である。 本書を読むきっかけとなったのは、渡辺が別の編書で(渡辺治編「日本の時代史27 高度成長と企業社会」2004)、75年頃からの官公へ…

岩本由輝「柳田國男の共同体論」(1978)

今回は共同体論関連のレビューである。本書で批判を行う共同体論というのは、祭事やより素朴な連帯意識による「共同体」が形成されるべきである、という主張を行うものである。今回はこの主張を岩本の価値観に合わせて「似非共同体論」と仮称して議論してい…

マイクル・クライトン、酒井昭伸訳「ライジング・サン」(1992=1992)

今回は今後の伏線の意味も含めつつ、「日本人論」の捉え方の事例として、マイクル・クライトンの小説を取り上げる。 本書では至るところで「日本人」についての言及があったが、基本的に何らかの因果関係が説明されている部分を全てノートにまとめた上で、ど…

石原慎太郎「スパルタ教育」(1969)

本書は当時のベストセラー(70万部とも言われる)となった石原慎太郎の著書である。教育書と読むか、育児書と読むかは微妙であるが、教育書であれば、日本で最も売れた教育書の一つ、といっても言いかもしれない。100のテーマをそれぞれ2ページでまとめ…

小林正「日教組という名の十字架」(2001)

今回は本書の主題とは少しずれるが、戦後直後の資料に言及している内容に関連して、2点程気になったことについて触れてみる。1.「太平洋戦争史」や「新教育指針」の当時に影響力について 恐らくは日本が独立していく50年代には徐々に忘れられていったもの…

D.W.プラース「日本人の生き方」(1980=1985)

本書はライフヒストリーの手法を用いて、日本人の生き方、特に成人し年を重ねていく中で、どのような人生を送ってきたか(送ろうとしてきたか)に着目した研究である。 まずもって、ライフヒストリーの手法という意味では一種の模範となる一冊ではなかろうか…

全生研常任委員会「学級集団づくり入門 第二版」(1972)その2

<読書ノート> p21「しかし、能力と能力を担っている人格とを、それほど容易に区別できるものではない。能力を選別し差別することは、人格を選別し差別することにならざるをえない。こんにちの大企業の労務管理は、この点を意識的に利用して、能力の名にお…

全生研常任委員会「学級集団づくり入門 第二版」(1972)その1

今回は片岡徳雄のレビューの際に宿題としていた、全生研のベーシックな著書を読みときながら、「集団主義教育」についての考察を行っていきたい。 本書に加えて、全生研の主要な論者の一人である竹内常一「生活指導の理論」(1969)も合わせて読んだ。こちらの…