2020

夏堀睦「創造性と学校」(2005)

今回は前々回デュークのレビューで取り上げた「創造性」の議論に関連して、夏堀の著書を取り上げる。 まず、本書が異色の書であることを押さえておきたい。それは「①ネオリベの立場から書かれた②実証的な著書」という点である。①②それぞれの立場から書かれた…

ベンジャミン・C・デューク「ジャパニーズ・スクール」(1986)

今回は、日本人論を意識している「外国人研究者から見た日本の教育」に関する著書を取り上げる。 〇「頑張り主義」と「競争」は両立するのか? まずもって本書において気になるのは、日本の教育において共有されていた「精神論」に対してかなり肯定的にとら…

諏訪哲二「学校の終わり」(1993)

今回も前回に引き続き、「進歩的文化人」と「近代/欧米化」の議論との関連性について検討したい。諏訪も苅谷同様、進歩的な勢力に対し「欧米的な近代化」の主体であるとみなす議論を行っている。諏訪は高校教師として教鞭をふるっていたこともあり、現場感…

角田忠信「日本人の脳」(1978)

今回は、日本人論の関連で、角田の著書を取り上げる。 角田の日本人論というのは、恐らくは「最強」の部類だと思われる。通常、日本人論として認められるものというのは、それが「一般的な日本人」について妥当であるかどうかの検証というのが難しく、それ自…

黒崎勲「教育の政治経済学」(2000)

今回から新しいテーマで継続的にレビューを行いたい。私自身が丁度学生時代に研究対象としていた分野にも関連するが、90年代から00年代の教育改革をめぐる議論を読み解いていく。 その中で特に注目していきたいのは、教員組織の自律性、『改善』の意志を持っ…

縫田清二「ユートピアの思想」(2000)

今回は日本人論の関連で、縫田のユートピア論を取り上げる。特に今後取り上げる予定の西尾幹二の議論とも関連するため、特に「理想」と「実態」に対する見方についてを中心に検討したい。 ○「大衆としての日本人」と「代表としての日本人」について(または…